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引退馬の余生 — サンクスホース運動とは

BY 編集部2026.05.01
引退馬の余生 — サンクスホース運動とは

Photo: Gallop Journal Editorial — 引退馬の余生 — サンクスホース運動とは

年間約6000頭が生産されるサラブレッド。競走馬を引退した後、彼らはどこへ行くのか。馬を愛するすべての人が知っておきたい現実と、変化の兆し。

サラブレッドの競走寿命は短い。デビューは2歳、引退は早ければ3〜4歳、長くても10歳前後だ。その後の馬生は、40年近く続くこともある。競馬場で輝いた命が、引退後にどこへ向かうのか——これは馬を愛するすべての人が向き合うべき問いだ。

引退馬の行き先

日本では年間約6000〜7000頭のサラブレッドが生産される。引退後の主な行き先は以下の4つだ。

繁殖入り——牡馬は種牡馬、牝馬は繁殖牝馬として牧場に残る。これは成績優秀な一部の馬に限られる。

乗馬転用——競馬引退後に乗馬クラブへ移り、乗馬や馬術の馬として第二の人生を歩む。気性が穏やかで乗馬向きの馬に向いている。

海外輸出——主に東南アジアへの輸出。現地での競走や乗馬用途に使われる。

食用——一定数の馬が食肉処理される。これは日本だけでなく世界的に行われており、馬刺し文化のある日本では国内消費もある。

この現実を知ったとき、競馬ファンはしばしば複雑な感情を抱く。しかし目を背けるより、知った上で何ができるかを考える方が、馬にとっても人にとっても誠実だ。

サンクスホース運動とは

「サンクスホース運動」は、引退馬の余生を支援するための社会的な取り組みだ。競馬ファンや馬産業関係者が協力し、引退馬の乗馬転用・牧場での余生・里親制度などを支援する。JRA(日本中央競馬会)も2019年頃から引退馬支援に公式に取り組み始め、「引退馬協会」や「ホーストラスト」などのNPOと連携した支援プログラムが広がりつつある。

引退馬協会の活動

NPO法人「引退馬協会」は、競走馬引退後の余生を支援する代表的な団体だ。乗馬転用のためのリトレーニング(再調教)、余生牧場での生涯飼養、里親制度の運営などを行っている。活動資金の多くは寄付とグッズ販売で賄われており、ファンが直接支援に参加できる仕組みが整っている。「好きな馬の引退後を支援したい」という競馬ファンの需要と、馬の福祉向上という社会的ニーズが重なった活動だ。

乗馬クラブとの連携

引退競走馬を乗馬クラブで受け入れる「元競走馬の乗馬転用」は、馬にとっても人にとっても理想的な第二の人生だ。競走馬は基本的に気が強く、乗馬への転用には数ヶ月から1年以上のリトレーニングが必要だが、穏やかな環境に慣れると非常に賢く、人との絆を築きやすい馬が多い。乗馬クラブで引退競走馬に乗ることができる施設も増えており、「あの有名馬に乗れる」という体験が新たな乗馬ファンを生んでいる。

ファンができること

引退馬支援に参加する方法はいくつかある。

引退馬協会への寄付・グッズ購入

余生牧場への見学・ふるさと納税的な支援

元競走馬が在籍する乗馬クラブへの入会・体験乗馬

SNSでの情報拡散

競馬場で馬券を買うだけが競馬の楽しみ方ではない。馬の一生に関心を持ち、引退後も応援し続けることが、馬と競馬文化を次の世代につなぐことになる。

馬は短い競走生活の中で、全力を尽くして走る。その後の40年近い馬生を、できるだけ穏やかに過ごせる社会をつくること——それは、馬を愛する人間の責任だと思う。

この記事を読んだ方におすすめ

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・引退馬協会への寄付・支援 → https://www.rha.or.jp

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