北京・東京五輪の馬術を振り返る — 日本馬術の新時代

Photo: Gallop Journal Editorial — 北京・東京五輪の馬術を振り返る — 日本馬術の新時代
2008年北京から2021年東京まで、オリンピック馬術競技の歴史と、日本チームが見せた躍進の軌跡を辿る。
オリンピックの馬術競技は、他のどの競技とも異なる独特の緊張感を持つ。人と馬、二つの意思が完全に一致した瞬間だけが、観客の心を動かす。そしてその瞬間は、何年もの訓練と信頼の積み重ねの上にしか生まれない。
馬術競技の3種目
オリンピック馬術には3つの競技がある。馬場馬術(ドレッサージュ)、障害飛越(ジャンピング)、そして総合馬術(エベンティング)だ。総合馬術は3日間にわたり、馬場馬術・クロスカントリー・障害飛越の3種目をすべてこなす最も過酷な競技とされる。騎手と馬の総合的な能力が問われるため、「馬術の三種競技」とも呼ばれる。
2008年北京五輪 — 日本馬術の転換点
北京五輪の馬術競技は、香港で開催された。馬の検疫問題により中国本土での開催が難しかったためだ。この大会で日本チームは総合馬術団体で入賞を果たし、世界との差を実感しながらも確かな手応えを得た。北京以降、日本の馬術界は若い世代の育成に本格的に取り組み始める。
2012年ロンドン、2016年リオ — 着実な成長
ロンドン五輪では、日本の障害飛越代表が世界トップクラスの選手たちと渡り合い、国内での注目度が高まった。リオ五輪では宮内知子選手が馬場馬術個人で出場し、日本の馬場馬術のレベルが国際的に認知される契機となった。この時期、SNSの普及により馬術競技の映像が広く拡散されるようになり、馬術ファンの裾野が広がった。
2021年東京五輪 — 地元開催の重圧と感動
東京五輪の馬術競技は、馬術の聖地・馬事公苑(世田谷区)で行われる予定だったが、コロナ禍の影響で無観客開催となった。しかし競技の内容は世界最高水準だった。特に馬場馬術では、ドイツのイザベル・ヴェルト選手が圧倒的な演技を見せ、馬術とは何かを世界に改めて示した。日本からは複数の選手が出場し、世界の壁の厚さを感じながらも、次世代への道を切り開いた。
パリ2024へ、そして日本馬術の未来
2024年パリ五輪では、馬術競技がヴェルサイユ宮殿の庭園を舞台に行われた。あの絢爛たる宮殿を背景に繰り広げられる馬術は、競技を超えた芸術だった。日本馬術連盟は2030年代を見据えた強化計画を進めており、若手騎手の海外遠征支援や、良質な競技馬の確保に力を入れている。
馬術は結果だけで語れない競技だ。勝敗の前に、人と馬の間に何が生まれたか——その問いこそが、この競技の本質を照らし出している。
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